ガラス工芸は手作業で行うと機械では出せない個性が出る味わいがあります。

様々な種類のガラス工芸|これまでの歴史と技術の変化

ガラス工芸の歴史

切子のグラス

 

ガラス工芸と聞けば、熱したガラスを息を吹きながらクルクル回して形を整えるものを思い浮かびます。昔ながらの工法ですが、現在もこの手法を使った工芸品は多数あり、体験教室の人気も高く身近に感じられる伝統工芸です。
原始的な方法が使われることの多いガラス工芸ですが、いつごろから存在していたのか気になりませんか?ガラスの起源を突き詰めていくと古代メソポタミア時代まで遡ることになり、時代とともに日用品から骨董・工芸品・現代のインスタレーションなどに進化してきました。

 

 

古代のガラス

世界地図

 

世界最古のガラスは紀元前16世紀ころの古代メソポタミア文明に作られたものです。
当時のガラスは芯材に粘土などで型を作りその周りに溶解したガラスを巻きつけ、冷却した後で中の型を取りだすコアガラスという技法を使っていました。
現代ガラスは透明なものが中心で、工芸品も透明なガラスに色を付けています。
古代のガラスは透明につくることができず、窓ガラスのような住環境を整えるものではなく、工芸品として活用されていました。

 

つまり、ガラス工芸はガラスそのもののと同じ3,500年以上に及ぶ古い歴史を持ちます。

 

その後は古代エジプト文明にガラス製法が伝わり、世界へと広がり、ペルシャガラス地中海ガラスギリシャガラスなど世界各国で様々な発展を遂げていきます。
紀元前5世紀ころのバビロニア時代で初めて現在は主流になっている透明なガラスが作られるようになります。現代でも定番手法である吹きガラス工法は紀元前1世紀頃にシリアで発明されました。

 

 

日本の歴史

日本地図

 

日本で発見された最も古いガラスは、弥生前期(西暦紀元前3~1世紀)小さなガラスビーズです。これが日本独自で生み出されたものなのか、海外から伝わったものなのかは明らかになっていません。弥生後期の遺跡から、ガラス炉跡と思われるものが発見されて日本でもガラスの製造が行われていたことが確認されています。しかし、その後は日本でガラス製造技術の発展は長らく衰退していました。
古墳時代(3世紀末~7世紀初)に入ると、輸入品のガラス器などが多く発掘されていて、日本のガラス文化は中国から伝わったものだと考えられています。
海外製のガラスが一部で普及したものの、日本のガラス産業は長らく発展をしませんでした。
ガラス工芸が発展したのは1600年代の江戸時代に入ってからです。
オランダからガラスの製造やガラス器の技法が伝わり、カットガラスの技法が江戸切子薩摩切子に応用されて日本独自の進化を遂げていきます。

江戸切子の詳細はこちら
薩摩切子の詳細はこちら

 

17世紀以降に急激な発展を遂げる

ガラス工芸は3,500年以上の歴史がありますが、大きな発展を遂げたのはここ400年ほどのことです。17世紀に入るとボヘミア地方(現在のチェコ西部・中部)で透明度の高いカリガラスに施された緻密な彫刻を施したボヘミア・ガラスが普及します。
1789年にはフランスの科学者ルブランが開発した「ルブラン法」により、食塩からガラスの原料となるソーダ灰を製造できるようになりました。
それまで天然資源に頼っていた原料のアルカリ源がソーダ灰に変わったことでガラス製造のコストは大幅に削減されました。
産業革命が起こると、さらにガラス産業は発展し、板ガラスが発明されるなど工芸品だけではなくガラス工業の分野も発展していきます。ガラスの進化をうけて、世界中で観賞用の美術品だけではなく、日常的に使うコップやボトル、容器などでガラス工芸が活用されていくように変わっていきます。

 

 

国内で古い歴史を持つ琉球ガラス

琉球ガラス

 

日本でガラス工芸の発展が始まったのは江戸時代ですが、国内でいち早くガラス工芸が活発になったのは現在の沖縄にあたる琉球王国です。
琉球ガラスは古い歴史を持つ伝統工芸として現在も人気が高いです。
起源は1600年代後半と言われていて、那覇市にある円覚寺にて作られた和尚像の目の部分にガラス玉が使われていたことから、沖縄ではこの時代には既にガラス細工が伝来していることが分かります。
しかし、世界に比べると日本のガラス工芸は遅れを取っていました。
第二次世界対戦終了後は、コーラやビールなどのガラス瓶も沖縄に多く持ち込まれ、その廃ビンを使ってカラフルなガラス工芸をつくるようになりました。
その後はカラフルなガラスを作るために金属を入れる製法を活用し、一目見て琉球ガラスだと分かる工芸品が作られるようになります。

 

 

ガラス工芸は奥が深い

手作業で作るガラス工芸品

 

ここでは、数あるガラス工芸の歴史のほんの一部しか紹介していません。
国内で見ても江戸切子や琉球ガラスがあるように、世界中の国と地域で様々な発展を遂げて、製法や手法が生み出された歴史を持ちます。
基本製法は紀元前以前の古代から継承しているものも多く、歴史の中で技術を受け継ぎながら進化を遂げて、工場によるオートマチック化が進んだ現代でも手作業で作るガラス工芸品の需要があります。ガラス工芸は手法や作り手によって完成度が変わり、機械によるライン製造では作れない味わいや商品ひとつずつ微妙に異なる個性が出ます。
現在も時代によって変わる流行の変化に合わせて、新しいガラス工芸品が続々と誕生しています。

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